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2020年1月12日 (日) 21:32時点における最新版

(くそ、ふん。くそは「屎」とも表記)とは、動物排泄物のうち消化管から排泄されるもの。糞便大便、(俗に)うんこうんちばばや、大便から転じとも呼ばれる。(うんこ、くそについては)転じて、取るに足らない物、無意味な物、役立たない物、不必要な物を指して、このように形容する場合もある。後述のように悪臭を伴い、非常に臭い。

概要[編集]

糞はたいていの場合において、禁忌されるべき不浄の存在として扱われる。特に衛生面から見た場合、伝染病の病原体を含んだ糞は典型的かつ危険な感染源である(これらが近代の戦争で、赤痢等の伝染病を蔓延させるための生物兵器として使用されたこともある)し、また猛烈な臭気を放つ。よって多くの生き物は、本能的に糞を避ける。

動物の糞は一般的に、草食獣などの弱い動物ほど糞の臭いは少なく、逆に肉食獣の糞は臭気が強い。これは弱い動物が臭い糞をすると、天敵を集めてしまう危険が高くなるために、臭い糞をする草食獣は淘汰された結果だともといわれているが、逆に肉食獣などの糞は、脂質タンパク質消化するためにさまざまな消化分泌系が発達し、より臭いが強い傾向がある。

古くから、さまざまな理由で忌み嫌われてきた糞ではあるが、地域や時代によっては、糞便は肥料飼料医薬品等として利用されてきた。近年では生物学的な循環において排泄物を資源として捉え、例えば、宇宙ステーションなどの閉鎖環境において有効に活用する手段等の研究も広く行われている。また、一部の動物では自分や親の糞を食べたり、他の動物の糞を栄養源とすることが見られる。

糞の量・形・色・臭い等は動物種、また個体によって様々であり、体調によっても大きく変化する。人間の場合、1日に平均して100〜250gほどを排出するが、体調の関係で、大量に出たり、何日も出ないこともある。水分が多い場合は液状になることもあり、その場合は下痢といわれる。長期間出ない状態は便秘宿便)と呼ばれ、中毒症状を起こすこともあり、極めて稀ではあるが、便秘による死亡例もある。下痢や便秘、血便等の便の異常は、特に長期間続く場合、病気の兆候として注意される。

生物学的側面から見た糞[編集]

消化器系[編集]

人間の場合の内容物は、食物繊維など摂取した食物のうち消化しきれなかったもの、新陳代謝によってはがれた細胞大腸菌などの腸内細菌、胆汁などの体内分泌液、水分、または体内に蓄積していた毒素などで、未消化物の組成は摂取した食物により左右される。かつては子供の本などで、「大便は食べ物が消化しきれなかったかすである」という記述が多かったが、便を構成する成分のうち、食べ物の残滓はおよそ5%に過ぎない。大半は水分(60%)が占め、次に多いのが代謝された腸壁細胞の死骸(15%〜20%)である。また、細菌類の死骸(10%〜15%)も食べ物の残滓より多く含まれる。

人間が男女に関わらず排泄する便の色は、通常時の場合は黄土色 - 茶色で、これは胆汁によるものである。摂取した食物の種類、体調の違いにより色調の濃淡には変化もある。一般に肉食など動物性タンパク質のものを多く食すると褐色がかり、反対に穀物、豆類、野菜類を多く食するとpHの関係で黄色がかる。また、食物繊維、炭水化物を多く摂取すると便は太く大きくなり、栄養価の低いジャンクフードを食べていると、便は細くなる傾向がある。

便の性状は健康状態を反映している場合があり、日頃の観察が勧められる。色調は特に重要である。黒色の便(特にタール状のもの)は上部消化管( - 十二指腸)での出血を示唆し、出血性潰瘍もしくはを疑うべき所見である。肉眼的に赤い血液が確認できる便(血便)は下部消化管(大腸以下)での出血によるものであることが多い。胆道閉塞の結果として胆汁の分泌量が少ないと、っぽい便が出ることもある(その前に黄疸等の症状が出ることも多いが)。この場合は胆汁の脂肪親和作用が得られないため脂肪便となることが多い。また、ロタウィルスなどの感染症では白色の下痢が特徴である。

また便から放出される臭いも健康を知るバロメーターとなる。一般に大便の臭いは食物の残滓が腐敗して発すると思われがちだが、一緒になって放出される細菌類の排泄物によって臭いが放たれるのである。健康な便とされるものからは露骨な悪臭は発しなく、発酵臭に似た臭いが放出される。これは一般に善玉といわれるビフィズス菌や乳酸菌の代謝によって排泄される臭いである。反面、ウェルシュ菌などの悪玉菌はスカトール、メルカブタン、硫化水素など毒性のある臭いを放つ。

臭いの元[編集]

臭いの原因としては、インドールスカトール硫化水素などによる物である。人間の場合、1日に平均して100〜250 gほどを排出するが、稀に体調の関係で、大量に(ゆるい物が)出たり、何日も出ないこともある。日本人が人生80年の間に排泄する糞の平均量は約15トンといわれている。あまりに長い間出ないと、中毒症状を起こすこともあるので、あまりに長い期間(1週間以上)出ない場合は、専門医への相談が推奨される。

口臭腸内ガスと同じ臭いであることがある。これは便秘しているからガスが吸収され血管内を運ばれ、から放出され口腔に至るためである。

糞の利用[編集]

糞は体内における酵素細菌の働きによる変化を起こしておりさまざまな利用がなされている。

飼料・食糧としての利用[編集]

未消化の栄養素を食糧として利用する場合である。ウサギなどは、自分の糞を食べる。これは、繰り返し腸管を通過させるためのもので、異常な行動ではない。哺乳類の中には、子育て期間中に子供の糞を食べてしまう物もあるが、これは子供の消化能力が弱くて、未消化の分が多いこともあるが、それ以上に天敵から身を守るために、糞をできるだけの周辺に残さないようにする本能的な行動である。逆に、親が子に栄養分を豊富に含む未消化の便を与える動物もある(コアラなど)。これは初乳に近い役割を果たしている。草食動物の場合は、腸内細菌の働きによって草木を消化するが、腸内細菌の発生が弱い場合は消化不良を起こすことで知られるが、そのような時に草食動物は好んで自分や仲間の糞を口にするものの、これらは腸内細菌の補充が目的であって、糞中の栄養を求めてのことではない。

別種の動物に利用される場合もある。排泄物には、その動物が消化吸収できなかった成分が含まれるが、他の動物に取って、それが食料にならないことを意味しない。実際には、野外において動物の糞は、よくほかの動物の餌になる。代表的なのは、昆虫の中で、糞虫といわれるコガネムシ類である。フンコロガシスカラベ)がよく知られる。

人糞が魚類の餌として使用される場合がある。そのために便所はそれらの生物の飼育場所に隣接して作られることがある。さらに手の込んだものでは、人の便所の下に豚小屋を、豚小屋の下の方に養魚池を造る。これなどは、自然の仕組みを巧く利用した例と言えよう。

糞は老廃物であるから、食物として直接利用される場合もあるが、さらに分解を進める微生物の働く場でもある。排出されると、すぐに細菌類や菌類がどんどん分解をはじめる。糞に生じる菌類は糞生菌と呼ばれ、古くから研究の対象となってきた。ちなみにハエのウジなどは、むしろ細菌を餌にしている可能性もある。細菌や菌類による分解が進めば、糞は土に同化してゆく。

肥料としての利用[編集]

糞には、窒素リン酸が含まれているため肥料として利用される。鶏糞、牛糞、人糞などが用いられている。

人糞[編集]

人糞を肥料として用いるのは、世界的に見ると一般的なものではなく、日本などごく一部に留まる。多くの国・民族において、人糞を人間の食料を生産する畑に投下することは忌避されてきた。例えば明治期にアイヌ民族がなかなか農業に馴染まなかったとされるが、その最大の問題は人糞を肥料に用いることであったといわれる。

人糞を肥料として用いるのは、鎌倉時代日本が初めてであり、これがために日本の都市は他国に比べて極めて衛生的になったとといわれる(そうでない場合の端的な例としては、後述の「糞尿だらけのパリ」を参照)。

江戸時代には、その人糞を出す階層により、その価値が違い、栄養状態のよい階層(最上層は江戸城)から出された人糞は、それより下の階層(最下層は罪人)が出す物より高い値段で引き取られた。江戸城から出る人糞は、葛西村が独占していた。長屋に併設された共同便所は、これらの肥料原料を効率良く収集するために設置され、ここから得られた肥料で城下町周辺部の農地は大いに肥え、町民に食糧を供給し続けた。

明治期においても人糞は貴重な肥料であり、高値で引き取られた。そのため、学生などが下宿する場合においては、部屋を複数人以上(具体的人数はその時の取引相場で異なる)で共同で借りた場合は、部屋の借り賃が無料になることもあった。

肥料として用いる人糞は、そのまま使うと作物が根腐れするため、たいていは肥溜めに溜めて発酵させて利用する。ちなみに発酵中の物は非常に臭いが強く、さらに衛生害虫になるクロバエ類やニクバエ類、またの中でも最も富栄養状態に適応したオオクロヤブカの発生源となるため、現代の日本では、肥溜めはほとんど用いられない。日本においても、下水道の設備が普及するまでは、人糞が肥料として盛んに用いられた歴史があるが、現代でも、未開な民族で行われている原始的農法の中には、便意を催したら、芋などの作物を育てている焼畑に穴を掘って、適時用便して肥料とする所もある。

農民が直接人糞を引き取る形態は、バキュームカー下水道が普及する昭和後期以降におて廃れることになるが、現在も下水の汚泥を醗酵処理した肥料が製造販売(自治体によっては無償提供)されている。

家畜糞[編集]

鶏や牛などの家畜の糞は、多くの場合、自然に放牧することによって得られる。家畜の放牧地は交代で畑として利用され、放牧地であった時の家畜の糞が、そのまま肥料となる。

放牧が乏しい今日の日本では、おがくずや藁と混ぜて、専用の発酵施設で臭気を抑えつつ、発酵させ利用する。これらの有機肥料を使った農作物は、自然回帰のブーム等により、近年の無農薬栽培低農薬栽培などと並んで、高価な値段で出回っており、栄養豊富で味も良いと好評を博している。

目印・確認用としての利用[編集]

糞を発見・調査することによってその近辺にいる動物を知ることができる。また、その糞を分析することによってその動物がどのようなものを食べているかを知ることができる。また糞は、動物の習性によって巣から一定距離の場所にばら撒かれたり、縄張り主張のために等に擦り付いていたり、決まった場所にあったりとさまざまであるが、これら習性を調べて応用することで、狩り等の際に効率良く対象の動物を発見できる。

その他の利用[編集]

ファイル:Drying cow dung.jpg
ウシの糞を乾燥させる
  • 乾燥地帯で牧畜が行われている地域では、家畜である草食動物の未消化である植物性繊維を多く含む糞を乾燥させ燃料や壁材として利用されている。例えばインドではの糞を藁などを加えて円形に乾燥させて牛糞燃料にする。また、防虫として壁や屋根に塗る。
  • 鳥の糞が堆積し化石化してできたグアノ窒素リン資源として大いに利用されていたが、ナウルなど産地は採掘し尽くされ枯渇してしまった。なお近年では海鳥由来の良質なグアノは枯渇したものの、洞窟などに密集して居住するコウモリの糞のグアノ化したものが高級肥料として「バット・グアノ」などの名称で観葉植物向けなどに利用されている。
  • ウグイスの糞は化粧品として利用される。これは、ここに含まれる多様な消化酵素の効果によるものとされる。
  • 狼煙の語源はの糞を使用することからとされている。
  • の糞には未消化の食物繊維が多く含まれていることを利用してが作られている。ある国ではお茶がある。さらに象の糞をライオンにあげると、獰猛なライオンが一瞬にしておとなしくなってしまう。要出典
  • ライオンの糞は、草食動物が嫌う臭いを出すため、野生動物からの農作物被害を減らすために、忌避剤としての研究が行われている。実際、JR紀勢本線では鹿との接触事故が多く、動物園から譲り受けたライオンの糞を線路沿いに蒔いたところ接触事故がなくなり、絶大な効果を上げている。
  • コーヒーは特定の動物(ジャコウネコの一種)が、特に出来の良いコーヒーの実を好んで食べることから、この糞に含まれている未消化のコーヒー種子を取り出したもの(コピ・ルアク)が高値で取引されている。動物の消化酵素の働きで、コーヒー自身の風味が玄妙に変化し、独特の味わいがあるという。
  • 代の李時珍本草綱目』には52巻人部の人糞などや虫糞茶等の糞を原料とする漢方薬が記されている。
  • 日本では中国の四川料理にはの目玉の湯 (中華料理)が珍味であるとする説が流布している。この原料は夜明砂というコウモリの糞を洗いだした漢方薬である。
  • 朝鮮民間療法で、嘗糞という糞をなめることで胆汁の出方などで健康の度合いを知るものがある。なお、患者から検査者への伝染病寄生虫の感染の危険が増大するのでこの方法は避けたほうがよい。
  • 検便感染症食中毒の原因ウイルスや寄生虫卵、潜血など検査を現代の医療現場で行なわれる。

慣用句としての糞[編集]

糞は忌避されているが、日常的に目にするきわめて身近な存在でもあるため、さまざまな慣用句に用いられる。

クソッ!
強い憤りを表す慣用句で、欧米でもShit!(英語)、Scheiße!(ドイツ語)、Merde!(フランス語)、¡Mierda!(スペイン語)(意味はいずれも「クソッ!」)と、そのまんまな慣用句が存在している。旧来は、文字通り「糞を踏んでしまった」ような場合を指していたと思われるが、現在では自分を鼓舞する意味合いの方が強い。
Shit hit the fan(糞が送風機に当たった)
旧悪などが露見し、関係者一同に被害が及ぶ事。飛び散る様子から「逃れ得ない災厄」と云う感じだが、日本の「火の粉が降り注ぐ」に相当する。
Holy shit(聖なる糞)
アメリカの俗語で、激しい驚きを示す。意訳すれば「何じゃ、こりゃぁぁっ!?」程度の意味。状況に応じて、「こいつはすげぇ!」「ありえない!」の意味に使うこともできる。
¡Mierda! ¡Miércoles!
スペイン語で糞は"mierda"であり、日本語の「クソッ!」と同様に間投詞的に用いられるが、女性などはこの単語を直接口にするのを嫌い、最初のほうの発音が同じ単語である"miércoles"(水曜日)をその代わりにいうことがある。
味噌も糞も一緒くた
いくら色が似ているとはいえ、食品である味噌と汚物である糞を混ぜてしまう、非常に愚かしいことの例え(=玉石混交)。マーフィーの法則にある、「樽に一杯のワインに一滴の汚水を垂らした」後に出来上がる物と一緒である。古くは「糞味噌を混ぜる」ともいう。
下手糞
下手を強調した表現。
糞真面目
度を越えた真面目。(上記の下手糞同様、強調の意味で糞を付けた物)
猫糞(ねこばば)
ネコが自分のした糞に砂をかけて隠してしまう習性から、「糞=落し物・悪事」を隠す行為を指すが、特に落し物を着服(横領)してしまう行為を指してこう呼ぶ。
シェー
1960年代に赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」で生まれた流行語。有力な語源のひとつに、フランス語で「糞しろ」という意味のスラング、シエ (chier) が挙げられる要出典
目くそ
人体からの分泌物という意味で糞という言葉が使われている。同様の表現に鼻くそ。表現上の問題で目やにと言い換えることが多いが、慣用句としての「目くそ鼻くそを笑う」(=五十歩百歩)は生きている。

またこれら以外にも、役職や地位・立場の接頭詞的に「糞」を付け、侮蔑する意図で用いることがある。アメリカ英語の「fucking○○」に対応して使われる。

例 
坊主・糞大名・糞上司・糞ガキなど

糞と名の付く食べ物[編集]

本来忌避されている存在であるはずの糞の名を冠した食材がある。代表的なものにはウニの中でも高級食材とされているバフンウニエゾバフンウニ(いずれも「の糞」の意)などがある。

タイ王国ではトムヤムクンなどに用いられる大小さまざまな葉唐辛子が売られているが、その中でも一番小さく世界有数の辛さを誇る青唐辛子は色、形が似ていることからプリック・キー・ヌー(ねずみのうんこ)と呼ばれている、世界でも稀なケース。

奈良市では奈良公園を中心とした地域で「鹿のフン」あるいはそれに類する名称の菓子が土産物として販売されている。これは1986年笑っていいとも!で紹介され、オレたちひょうきん族明石家さんまによって大ブームになった吉永小百合の歌謡曲、奈良の春日野に因んだものである。テレビでのブームは去って久しく、その菓子の名の由来を知らない世代も増えたが、鹿の糞を模した形状が「ネタ」としても面白く、しかも安価で、かつある意味きわめて奈良らしい土産物であるため、修学旅行生や若年層を中心に人気があり、すっかり奈良土産として定着している。わざわざ糞に似せた食品を作って販売している例の一つである。

また、直接糞の名称を使っているわけではないが、鳥取県倉吉市の銘菓に「天女のわすれもの」がある。これは「トイレからのまちづくり」を進める倉吉市で、それにあやかるように作られた。「わすれもの」とは糞のことである。

糞から「ウンコ」へ。その語源[編集]

糞を意味する語として最も古くから存在するのは「くそ」で、「くさ(臭)し」「くさ(腐)る」はその派生語であると考えられる。また、くしゃみの古語である「くさめ」もその可能性があるという(柳田國男はくしゃみをした時のまじないのことば「クソハメ(糞食らえの意)」が転じたと論じた)。

糞の別名を「うんこ」や「うんち」ともいうが、いずれも脱糞しようといきむ時の声「うん」から生まれたものであり、もとは幼児語であった。両語とも成立は新しく、「うんこ」は18世紀後半、「うんち」に至っては20世紀以降の用例しか存在しない。糞に通常語とは異なる幼児語を当て嵌める文化は普遍的に存在し、例えばフランス語ではメルドmerdeという通常語の他にカカcacaという幼児語も存在する(これにちなみ、『天空の城ラピュタ』のフランス公開では原語日本語版において「カッカ(閣下)」という言葉が頻出するのが子供たちの間で失笑を買った)。

当て字[編集]

「糞」を意味する「うんこ」に漢字表記は存在しないが、小説家の開高健はエッセイ『私の釣魚大全』(1969年)で、雲古(うんこ)という当て字を使用していた(同様に小便についても御叱呼(おしっこ)と表記していた)。これには「を眺めてきを落とす」という意味が込められていたとされる。また落語家や寄席芸人の符丁で「クモ(=雲)」といえば「うんこ」のことを表す。

糞の方言[編集]

近畿地方ではババ(屎)と呼ぶが、この呼び方は「ネコババ」の語源となっている。ネコババとは、落し物を着服することを意味する。上記の猫糞を参照。また新潟県ではあっぱ愛媛県ではポン福島県会津ではバッコと呼ぶ。また、会津地方の方言では糞尿を漏らすことをむぐすと言い、前述とあわせるとバッコをむぐすとなる。

その他「糞」に関する古語[編集]

排泄を意味する古語動詞は「まる」で、「くそまる(脱糞する)」「ゆまる(小便をする)」のように用いられた。おまるという語に今も残るが、長野県愛知県では方言として現在でも使われる。子音交替によりバ行に転じた「ばる」になると、さらに多くの地方で方言として残っている。たとえば、肥筑方言の「ばりかぶる=脱糞する(なお、「かぶる」は広く九州地方で排泄を意味する語。「しかぶる」は小便を漏らす、失禁するの意)」など。「ばば」の語源にも関係があるともといわれる。

また、男児名に付く「麻呂」、「麿」、「」も、もとは「糞」を意味していたという説がある。これは、名にわざと醜悪なものをつけ、幼児が魔物などに魅入られず力強く成長することを祈ったものであるという。

「うんこ」と「うんち」の違い[編集]

定義はあまりはっきりしないが、幾つか考えられる。これ以外の説もある。

  1. 固い物は「うんこ」、柔らかい物は「うんち」。また、「うんにょ」、「うんにゃ」はさらに柔らかいものとされる。他にも「うんぴ」「うんび」などという言い方も存在する。
  2. 誰がしたかが分からないもの、抽象的な物は「うんこ」、誰がしたかが分かるもの、具体的な物は「うんち」

文化面から見た糞[編集]

詳細は スカトロジー を参照

特殊な性的嗜好の中に、俗にスカトロと呼ばれる分野がある。日本語では「糞便愛好」や「糞尿愛好」とも云われるが、一般に忌避されている糞便に、背徳的かつ性的な興奮を感じるこれらの性的嗜好は、その実において、清潔さに対するアンチテーゼと呼ぶよりも、むしろ性的興奮に対する背徳感の微妙な変形であるとする説もある。この性的嗜好に対する分析は諸説あるため、詳しい話は割愛するとしても、これらの性的嗜好にある人は、好きな人の糞便を口にすることに、興奮を覚えるそうである。

脱糞する行為は非常にプライベートな部分であるため、他人の脱糞行為を伺い見ることは、羞恥心のない幼児ならともかく、成人の間では非常に稀なことである。人格形成の上で、脱糞行為は非常にデリケートな根底部分に含まれており、哲学上や心理学上における糞の扱いは、人間心理の洞察の上で、大変大きなウエイトが置かれている分野でもある。

また糞は美術面でもさまざまな形で、非常に内面的な心理描写を行う上で避けて通れない所があり、糞を模した美術品や糞そのものを加工したもの、さらには芸術活動の一環として、うんこを使った創作活動すら存在する。

糞に関する注意点[編集]

なお、これらの精神的な側面を持つ糞であるが、衛生面において、便秘ではないものが脱糞してすぐの物はそれほど問題はないとされているが、脱糞後1時間以上経った物や、便秘の者の糞は、有害細菌の働きによって腐敗しており、健康に悪影響を与える毒素が発生するので、食糞してはいけないといわれている。 そもそも体内の不用物だから排泄されるのである。

糞と社会問題[編集]

糞は動物であれば、普遍的に排出する物ではあるが、これらが動物の習性により、社会問題化することがある。

犬の場合[編集]

ペットの糞は、古くは往来の隅や植え込みの陰などに放置されることが多かった。しかし都市部で犬を飼う家庭が増えてくると、これらの放置された糞便が、次第に住民感情を害するようになり、有効な対応策が行政や犬を飼う人に求められるようになった。

この要望に対してフランスパリ市では、犬に糞をさせるための場所を路上に設置し、簡易バキューム機を搭載したオートバイによる清掃隊を配置して対応しているし、イギリスロンドン市では、公園などに飼い主が回収した糞を入れるための、専用の汚物入れを設けるなどしている。日本においては、条例により、路上など、公共性のある場所に、ゴミやタバコの吸殻と並んで、犬の糞も放置することに罰金などを設ける所も出てきている。

一方、昨今では愛犬家側にもだいぶ教育が浸透しており、犬の散歩の際にはビニール袋やポケットティッシュ持参で散歩する人がほとんどである。犬が排泄したら、その場でティッシュをかぶせ、裏返しにした袋を手にはめて、ティッシュの上から摘んで拾い上げ、そのまま裏返した袋を元に戻して回収するため、非常に衛生的に始末できるが、近年ではさらに糞の回収を便利にするさまざまなケア用品が発売され、中には便意を催した犬の後ろから宛がって、直接器具内に用便させる「犬用携帯トイレ」も発売されている。なお、一部の愛犬家に至っては、犬を訓練して、散歩前に用便を済まさせ、散歩中に催させない人も居るほどである。

猫の場合[編集]

は古くより、人間の住居に出入り自由な形で飼育されていたが、現代の住宅地においては、他人の敷地に侵入してしまったりすることもあるために、近所間の問題に発展する事例が近年増えている。

の露出面積が減った関係上で、柔らかい土を掘り返して用便し、終わった後は土を掛けて隠すことを好むこの動物が、他人の家の花壇や、児童が遊ぶ砂場などに用便してしまい、衛生上の観点や心情的な問題から、隣人関係が悪化してしまう他、特に野良猫を大量に餌付けしてしまう人の近隣や、多くの猫を飼育している家の近所で、住民間の対立を生んでしまう事例も発生している。

また児童の遊ぶ砂場では、野良猫の持っている寄生虫による被害を防止するため、児童の居ない時はビニールシートを被せたり、定期的に加熱消毒するなどの措置を行う所もあるが、中にはそれほど経費を掛けられない関係から、児童公園から砂場が消えてしまったり、クレゾール石鹸液等の薬品殺菌しようとして、正しい用法を知らずに原液を撒いてしまい、知らずに遊んだ児童が化学火傷を負うなどの健康被害を生む事件まで発生している。またこれらの問題では「遊んだら手を洗おう」という約束事がまだ守れない幼児ほど、寄生虫などによって病気に成り易い点もあり、軋轢を深める原因となっている。

これらの問題に対して、無節操な飼育方法を見直そうという運動があり、都市部においては飼い猫は屋内で飼うように行政側が提言を行い、飼い主側に自主的な協力を呼び掛けたり、野良猫に餌を与えて養うにしても、

  • 不快感を催させるほどに増えすぎたりしないよう去勢する
  • 健康管理を行って伝染病や寄生虫の蔓延を防ぐ
  • 公共の場所や他人の敷地に放置された糞を猫を世話する側が掃除する
  • 入って来て欲しくない場所には侵入防止用の措置を行う

…といったさまざまな対応をすることで、野良猫と地域住民の共存を図る地域猫制度を推進する自治体ボランティア団体も出始めている。

鳥の場合[編集]

食料さえ豊富なら、非常によく繁殖し、また大きな群れを作ることでも知られるが、これと同時に、増えて群れた分だけまとまった場所に糞をすることでも知られている。近年では都市部で繁殖し過ぎた鳩がクリプトコッカスなどの病原体を媒介もするため、衛生面において大きな社会問題となっている。

この問題に対して、都市部での鳩駆除という手もあるが、古くより平和や繁栄の象徴とされてきた鳩だけに、手荒な対処方法を取れない行政側も多く、さらに問題を根深いものとしている。この問題に対しては、鳩のを断つことで、都市部に集中しすぎた鳩の群れを分散させ、繁殖し過ぎないようにする運動が、消極的ながら推進されており、都市部では鳩に餌を与えた場合に罰金が科せられる所もある。

なお中国欧米中東では、良く増える鳩は、古来より重要な蛋白源としても利用されてきたため、食用として捕獲する分にはそれほど前出の動物愛護問題にも絡まないため、食料資源として捕獲して、実数削減に励もうという話も、一部では出るようである。

また、最近ムクドリが何千何万羽単位で大通りの街路樹を棲みかにすることによる糞害も深刻である。

原因については天敵のハヤブサや森林の減少があげられるが、大通りをはしる車のヘッドライトが川の水面に似ており、本来棲みかにしている河原周辺の林と勘違いしているのではないかという説もある。また、大通りの街路樹はヘビやカラスが近づきづらく棲みかには絶好の場所である。

フジテレビでも取り上げられたJR新松戸駅周辺のけやき通りでも深刻であり、初夏から晩秋にかけてのムクドリのシーズンでは周辺の商店の客足が遠のくという。爆竹やムクドリが警戒しているときの鳴き声で驚かせる、歩道上空の枝を切るといった対策がとられているが、2005年9月現在も新松戸の空にムクドリの波が押し寄せている。

また、もしこういった対策で退治したとしても、他の町に行くだけで本質的解決になってないという問題点もある。

公園の銅像も糞害に悩まされているものが多い中、ハトやカラスが全く寄り付かない銅像も存在することに気が付いた廣瀬幸雄はその銅像の化学成分を研究しヒ素の含有量が多いと鳥を忌避する効果があることを突き止めた。この研究業績に対してイグノーベル賞2003年化学賞が授与された。

人間の場合[編集]

人間の糞は、しばしば脅迫や嫌がらせの道具として使用されることがある。創作物ではあるが、『源氏物語』の桐壺の巻で帝の寵愛を一手に受けた桐壺の更衣に対する嫌がらせとして渡殿(渡り廊下)に糞尿を撒き散らし精神的ダメージを与えられる話が記載されている。現実の話ではバブル期において、地上げ屋が汚物の詰まったバキュームカーで乗り付け、汚物を撒き散らして事故だと言い張る事件が在ったとか無かったとか云う話もあるが、実際問題として、痴情絡みの怨恨で、汚物を他人の家の郵便受けに投げ込む輩は後を絶たないようである。また、2005年中頃には東京都内の住宅地で自らの汚物を庭にて加熱し異臭を放ち続けるという事件が取り上げられて問題となっている。さらに大阪では、大手電機メーカーの元社員が通りがかりの女性に糞尿を投げつけ、傷害の容疑で逮捕された。2001年に起きた名古屋刑務所放水死事件も、きっかけはその受刑者による、自らの糞を投げつける行為であった。それに対して、懲罰と自らの糞で汚れた受刑者の身体の清掃のために、刑務官が放水したのである。

前出の糞と人格形成上の問題から見ても、少々興味深いこれらの事件は、実質的に精神的な被害もさる事ながら、汚損された敷地・設備の清掃にも費用が掛かり、広義の器物破損罪にも問われる行為ではある。

糞尿だらけだったパリ[編集]

その昔、フランス・パリはトイレが普及してなく、貴族(一部は除く)も庶民おまるで用を足し、そしてその汚物を、道端に毎日捨てられていて、街は非常に汚かった。

パリの状況を変えるため、1608年に国王アンリ4世が「家の窓から糞尿を夜であっても投げ捨てない」という法律を制定した。その後1677年、初代パリ警察警視総監ラ・レニーが「1ヶ月以内に街中の家の中にトイレを設置すること」という命令をトイレ業者に勧告した。しかし状況は改善されず、100年後の1777年ルイ16世は「窓から汚物の投げ捨てを禁止する」という法令を再度制定した。

上記のような、どの法律もまったく守られず、あらゆるところに汚物が捨てられ続けた。パリの街が腐敗臭から逃れたのは、19世紀半ばのナポレオン3世の時代になってからである。

トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』より

考古学・古生物学における糞[編集]

考古学古生物学においては、糞が化石化した糞石(coprolite、コプロライト、糞化石)が人間や恐竜などの古生物の食性を示す資料となっており、糞石に含まれる残留物や寄生虫細菌類などから食性をはじめとしたさまざまなことが調べられている。

また、考古学においてはトイレ遺構のように、遺跡のトイレ跡から得られる残留物が、当時の生活を推察する資料ともなっている。


糞のつく地名[編集]

国内には糞と名の付く地名がある。この糞は屑、あるいは屎と置き換えてもよい。つまり、ある状態のものが、あちこちに散らばっている状況を示す。

関連項目[編集]


外部リンク[編集]

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